
3歳の息子は軽度の自閉スペクトラム症(ASD)です。今回は療育の世界を描いた漫画の紹介です。『知識は武器なり』という作者のメッセージにとても共感しました。
「保護者に知識という武器を与えたい」元療育保育士が漫画で伝える発達支援の現場 選択迫られる親の悩みと葛藤
Yahoo!ニュースにあがっていた記事なのですが、とても興味深い内容でしたのでご紹介します。
療育の現場を漫画で伝えている、クリエーターのゆり子さんは、元療育保育士さんです。
発達障害児の療育の世界って、閉じられていて、なかなか覗くことができないですよね。それをわかりやすく漫画にされています。
療育のお話だけではなく、各障害の子どもを持つ親の悩みや葛藤も描かれており、共感を読んでいます。

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保護者に知識という武器を与えたい
著者のゆりこさんはこの漫画を通して「保護者に知識という武器を与えたい」というメッセージを発しています。
療育現場の保育士や支援員がプロであるのに対し、保護者は初心者だ。不誠実な対応をされても、すぐにそれと気づくのは難しい。ゆり子さんは、障害児の保護者に知識という武器を与えたいと思っている。
「私が描いたことが正解というわけではないんですけど、支援員の振る舞いとして適切なものはこれですよ、というものを出しておけば、不適切な対応をしてくる事業所や、専門性がなくてめちゃくちゃなことを言ってくる事業所に当たった時に、これは違うぞと気づけるので」
私自身、療育を探していた当初は知識などまるでなく、途方に暮れていました。
もし行き当たりばったりで決めた療育施設で不誠実な対応をされていても、気がつけない自信があります。。
でも、この漫画には閉ざされた療育の世界を垣間見ることができます。この漫画で学べることはたくさんあり、正しい療育施設のあり方だけではなく、療育の目的、各障害の特性、さらには親が悩んでしまうこと・葛藤など共感の部分もきっとあるはずです。
障害の受容ができていない親 これからが戦い
私が最も共感したのは、第3巻のADHD編に出てくるお母さんと療育の先生の言葉です。
「でも療育に通えば普通の子になれるんですよね?」
決して普通学級に通える状態じゃないだろうという子供に対しての親の言葉です。
漫画の中でもそのような親に
「障害受容がまだできていないお母さん・・・あの親子はこれからが戦いなのよ。」
というセリフがあります。
これは私自身、今一番の問題なのではないだろうか、と感じている部分です。
親の障害受容とは
子ども発達障がい支援アドバイザーのテキストには親の障害受容について、代表的な「段階説」と「慢性悲観説」が記載されています。
ユーキャンの子ども発達障がい支援アドバイザー通信講座段階説
代表的な「段階説」では、以下のような心の動きの段階が示されることが多いです(提唱者や研究によって、段階の数や名称、順番は多少異なります)。
- ショック期(Shock)
- 診断を告知されたり、子どもの発達に何か問題があるのではないかと気づいたりした最初の時期です。
- 頭が真っ白になったり、現実感がなくなったり、何も考えられないような状態になることがあります。
- 精神的な打撃が大きく、呆然としてしまう段階です。
- 否認期(Denial)
- 「何かの間違いではないか」「うちの子に限ってそんなはずはない」「信じられない」というように、現実を受け入れたくない、認めたくないという気持ちが強く働く時期です。
- 他の医師の意見を聞きに行ったり、情報を集めたりする中で、診断を否定しようとすることもあります。これは、あまりにも大きな衝撃から自分を守ろうとする心の働きとも言えます。
- 混乱期(Turmoil)
- 否認しきれなくなり、様々な強い感情が次々と現れて混乱する時期です。この段階には、以下のような感情が含まれることがあります。
- 怒り(Anger): 「なぜうちの子が?」「誰のせいなんだ?」といった怒りの感情が、医師や配偶者、あるいは自分自身に向けられることがあります。
- 悲しみ(Sadness): 子どもの将来に対する不安、期待していた子ども像との違いに対する喪失感、深い悲しみに襲われます。涙が止まらなくなることもあります。
- 罪悪感(Guilt): 「自分の育て方が悪かったのではないか」「妊娠中の過ごし方が原因ではないか」などと、自分を責めてしまうことがあります。
- 抑うつ(Depression): 無力感や絶望感を感じ、何もする気が起きなくなったり、気分がひどく落ち込んだりすることがあります。
- 否認しきれなくなり、様々な強い感情が次々と現れて混乱する時期です。この段階には、以下のような感情が含まれることがあります。
- 適応期・再起期(Adaptation / Reorganization / Acceptance)
- 混乱期を経て、少しずつ現実と向き合い、子どもの障害を理解しようと努め始める時期です。
- 子どもの良いところや可能性に目を向けられるようになったり、必要な支援や関わり方について具体的に考え始めたりします。
- 障害のある子どもと共に、新しい生活や親子関係を築いていこうという前向きな気持ちが芽生えてきます。
- 「受容」という言葉が使われることもありますが、これは必ずしも障害を完全に肯定し、全ての悲しみが消えるという意味ではなく、障害のある子どものありのままの姿を受け止め、共に生きていく覚悟や意味を見出していくプロセスと捉えられます。
「段階説」を理解する上での大切なポイント
- 個人差が大きい: すべての親御さんが、この段階を順番通りに、同じ期間で経験するわけではありません。ある段階を長く経験する人もいれば、特定の段階をあまり感じない人もいます。
- 行ったり来たりする: 段階は一方通行ではなく、状況や気持ちの変化によって、前の段階に戻ったり、複数の感情が同時に存在したりすることもあります。
- 「受容」がゴールではない: 「早く受容しなければ」と焦る必要はありません。それぞれの親御さんのペースで、気持ちと向き合っていくことが大切です。
- 発達障害の特性による影響: 発達障害は、診断がつくまでに時間がかかったり、成長とともに特性の現れ方が変化したりすることもあるため、この「段階説」が必ずしも全てのケースに当てはまるとは限りません。
この「段階説」は、親が経験する複雑な感情を理解するための一つの「地図」のようなものです。ご自身の気持ちが今どのあたりにあるのかを知る手がかりになったり、先の見通しを持つ助けになったりするかもしれません。
しかし、最も大切なのは、一人で抱え込まず、信頼できる人に気持ちを話したり、専門機関や親の会などにつながってサポートを得ることです。
慢性的悲観説
これは、1960年代に**オルシャンスキー(Olshansky)**という研究者によって提唱された考え方です。
簡単に言うと、**「子どもの障害に対する親の悲しみや苦悩は、一度『受容』すれば完全に消え去るものではなく、生涯を通じて持続し、様々なきっかけで繰り返し現れる、ある意味で自然な感情である」**とする説です。
「段階説」が、ショックや否認といった段階を経て最終的に「受容」や「再起」といった安定した状態に至るプロセスを描くのに対し、「慢性的悲観説」は、その悲しみが波のように寄せては返し、完全にはなくならないという側面に注目しています。
保育園や相談先ではハッキリ言ってくれない
これはまさに私が経験したことなのですが、息子の発達を心配して保健相談所へ相談しても、区の児童発達支援センターの相談事業で相談しても、結果はずっと「様子見」。
そう、保育園ばかりか、地域の相談先でも、誰もハッキリとは言ってくれなかったのです。
今だからわかりますが、保育園がハッキリ言わないのは「トラブル回避」のためです。ハッキリ言ってしまうと親の反抗に遭います。だって親は認めたくないもの。
地域の相談先がハッキリ言わないのは、「トラブル回避」と「親の障害の受容を見極めている」から。
でもそんなことは私にはこれっぽっちもわかっていませんでした。
だから「様子見」を信じて受け止め、ただただ時間ばかりが過ぎていきました。
だって、誰も発達障害のことなんて教えてくれないのです。そして誰にも話せず聞けず、孤独で耐えるだけの辛い日々を過ごしていました。
そうして、「このままではまずい」という子供の状況を見てやっと気がつくのです。「うちの子は発達障害なんだ、認めなくては・・・」と。。。※私の話です。
もっと早く知っていれば・・・後悔
あの時、様子見と言われて放置していなければ、息子は今とは違ったかもしれない、と今でも後悔しています。もっと早く療育を受けていれば、、、もっと早く家でも対策を取っていれば。。。
あの時、この漫画に出会えていれば、もっと違ったかもしれない。
もっと早く自分が勉強して知識をつけていれば・・・。
本当に「知識は武器」「無知は罪」だと実感しました。

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